インドネシアで一番日本と関わりが深い「ダルマプルサダ大学 / Darma Persada University」
今回のコラムでは、インドネシアの首都ジャカルタにあるダルマプルサダ大学 (Universitas Darma Persada, 通称UNSADA) についてご紹介します。
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ダルマプルサダ大学の設立背景
ダルマプルサダ大学は日本と深い縁のある大学です。ダルマプルサダ大学の学校名プルサダ (Persada)は”Perhimpunan Alumni dari Jepang”の略で、元日本留学生協会を意味します。
ダルマプルサダ大学の前身は、この元日本留学生協会が1965年に設立した日本語・日本文化アカデミーだと言われています。1986年3月、元留学生協会の5人のメンバーが大学の設立を草案し、協会メンバーを招集し案を伝え合意を得て、大学設立委員会を結成。同年7月にダルマプルサダ大学が正式に設立されました。創設メンバーたちは、自分たちが日本で学んだ知識をインドネシアの国家と民族のために捧げるという決意のもと、大学創設後も継続的にその発展のために寄与したそうです。元日本留学生が自らの経験を母国の発展に活かすために大学を設立することは、インドネシア国内のみならず世界的にも大変珍しいケースです。
ダルマプルサダ大学は、現職のアグス・サリム・ダスキ学長含め歴代の学長のほとんどが日本の大学に留学経験があり、東京大学、京都大学、早稲田大学、慶応大学、信州大学、熊本医科大学など、その多くが日本でもトップレベルの大学・大学院の出身です。
学部と注力学術領域
ダルマプルサダ大学には、言語・文化学部、海洋技術学部、経済学部、理工学部の4つの学部と、日本語・英語・経営・経理を学べる別科があります。日本の大学の卒業生によって設立された同大学のユニークな点は、日本の「ものづくり」の概念を教育プログラムに取り入れている点です。単に製品を作るということだけでなく、開発や技術のプロセス、更には職人技、精神、熱意や継続的な改善のための献身と、より深い意味での日本のものづくりの概念が含まれます。トヨタ自動車をはじめとする日本の企業や、多くの日本の大学と友好的な協力関係にあり、日本への奨学金、日本からの講師の招聘、研究室設備など様々な支援も受けています。
天皇陛下との交流も?
ダルマプルサダ大学は日本政府にも注目され、これまでにインドネシア・日本友好協会会長の福田康夫元首相や安倍晋三元首相も大学訪問や、元日本留学生協会メンバーとの面談をしています。更に、まだ記憶に新しい2023年6月には、天皇皇后両陛下がインドネシアを訪問した際、日本語を学ぶ学生たちと日本語で会話をした様子が、インドネシア・日本の両国で大きく報じられました。1991年には上皇・上皇后両陛下が、2008年には秋篠宮皇嗣同妃両殿下もダルマプルサダ大学を視察しています。
元日本留学生協会の大学創設メンバーが亡くなり世代交代が進む中、現在では創設メンバーの子供世代がその意思を引き継ぎ大学の運営に関わってると言います。昨年の天皇皇后両陛下がご訪問された際案内をした事務局長も大学創設メンバーのご子息で、自身も日本の大学に留学経験があるそうです。日本とインドネシアの架け橋となるダルマプルサダ大学に、これからも更に注目が集まることでしょう。
著者
杏子スパルディ
2003年、留学先のアメリカでインドネシア人たちと出会い在米期間中インドネシアコミュニティにどっぷりとハマる。帰国後インドネシアに単身渡り現地採用で外資・日系企業にて合計14年勤務。現在はフリーランスのインドネシア語講師、コラムニストとして活動中。インドネシア人夫と小学生の子供二人と西ジャワ州ブカシ在住。「インドネシアと日本の架け橋に」をビジョンにオンラインコミュニティ、メラプティ交流会運営。異文化交流会、おしゃべり会、無料インドネシア語レッスンなど毎月開催中。
主な実績:
世界で働く女性のためのポータルサイト「世界ウーマン」インドネシア担当コラムニストにて毎月コラムを執筆・掲載
インドネシア人採用の専門メディア 「アジアンHRジャーナル」にて不定期でコラム執筆・掲載