なぜインドネシア人の理系人材は日本企業と相性が良いのか― エンジニア不足時代の新たな選択肢 ―
日本では少子高齢化の影響により、理系人材の不足が深刻化しています。特に製造業やIT、建設業などの分野では、エンジニアの採用が年々難しくなっています。こうした背景の中で、近年注目されているのがインドネシアの理系人材です。
インドネシアは人口約2.7億人を抱える東南アジア最大の国であり、若い世代の割合が非常に高いのが特徴です。その中で、日本企業のニーズと合致する理系人材が多く育っていることから、採用先として関心を持つ企業が増えています。ここでは、日本企業とインドネシア人理系人材の相性が良いといわれる理由をいくつかの視点から紹介します。
機械・電気電子・IT・土木など理系人材が豊富
インドネシアでは大学やポリテクニック(職業系高等教育機関)で工学を学ぶ学生が多く、毎年多くの理系人材が社会に出ています。特に以下の分野では、日本企業のニーズと一致する人材が多く存在します。
- 機械工学
- 電気・電子工学
- 情報工学 / コンピューターサイエンス
- 土木工学 / 建築
これらは日本でも慢性的に人材不足が続く分野です。インドネシアでは製造業やインフラ開発の需要が多いこともあり、大学で実践的な工学教育を受けた人材が多い点が特徴です。
また、多くの大学では英語による技術教育が行われており、海外で働くことを前提にキャリアを考える学生も増えています。そのため、日本企業にとっては採用後の教育や技術育成が比較的進めやすい人材層といえるでしょう。

インドネシア国内の雇用環境の不安定さ
インドネシアは経済成長が続く国として知られていますが、一方で若年層の雇用問題も抱えています。報道によると、Z世代の若者のうち約1,000万人近くが失業状態にあるともいわれており、教育と企業の人材ニーズのミスマッチや雇用機会の不足が課題として指摘されています。
さらに、仕事に就いた場合でも契約社員として働くケースが多いのも特徴です。企業によっては1年契約やプロジェクト単位の雇用となることもあり、長期的なキャリアを描きにくい状況があります。景気や企業の経営状況によって突然の大量解雇が発生するケースもあり、若いエンジニアの中には将来に不安を感じている人も少なくありません。
こうした背景から、海外で安定したキャリアを築きたいと考えるインドネシア人エンジニアは増えています。日本企業の「長期雇用」「安定した職場」「技術を長く磨ける環境」は、彼らにとって非常に魅力的な選択肢となっています。

日本人とインドネシア人の文化、性格的な相性
もう一つ注目される理由が、日本人とインドネシア人の文化的な相性です。インドネシア人は一般的に協調性を重んじる文化を持っており、チームで働くことを大切にします。個人の成果だけでなく、組織全体の成果を意識する傾向があるため、日本企業の組織文化と比較的親和性が高いといわれています。
また、以下のような価値観も日本の職場と近い部分があります。
・チームワークを重視する
プロジェクトの中で自分の役割を果たし、周囲と協力して仕事を進める姿勢を大切にします。
・会社への帰属意識を持ちやすい
職場の人間関係を重視し、企業への忠誠心や帰属意識を持つ人が多い傾向があります。
・感情を表に出しすぎない
対立を避け、調和を重視するアジア的な価値観を持っています。
・上司や年長者を敬う文化
インドネシアでは年齢や役職を尊重する文化があり、上司への敬意を示すことが一般的です。
こうした文化的背景は、日本企業の組織運営と比較的相性が良いといえるでしょう。
海外志向が強く、学習意欲が高い
近年のインドネシアの若者は、海外でのキャリアに強い関心を持っています。特に日本は技術力の高い国として知られており、「日本で技術を学びたい」「エンジニアとして成長したい」と考える人が多くいます。
また、インドネシア人は新しい環境への適応力が高く、言語や技術の習得にも前向きな人が多いといわれています。実際に、日本語を学んだ上で来日するエンジニアも増えており、日本の職場環境に順応するケースも少なくありません。

日本企業にとっての新しい人材戦略
日本では今後も理系人材不足が続くと予想されています。その中で、若い人口を多く抱え、技術教育が進んでいるインドネシアは、日本企業にとって非常に有望な人材供給国の一つといえます。
もちろん、言語や文化の違いを理解し、適切な受け入れ体制を整えることは重要です。しかし、それらを踏まえて採用と育成を行えば、日本企業にとって長期的に活躍するエンジニア人材を確保できる可能性があります。
インドネシアの理系人材は、単なる人手不足を補う存在ではなく、将来のグローバル人材として企業の成長を支えるパートナーとなる可能性を持っています。日本企業にとって、新しい人材戦略の一つとして検討する価値は十分にあるといえるでしょう。
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