ガジャマダ大学キャンパスツアー【前編】インドネシア最高峰の大学を覗いてみよう!

インドネシアの大学と聞いてどの大学が思い浮かびますか?もしかしたら「ひとつも分からない…」「インドネシアの大学ってどんな所なんだろう」と思う方も多いかもしれません。

今回はインドネシア有数の国立大学であるガジャマダ大学について、実際に留学中の日本人学生が【前編】【後編】の二つの記事に分けてご紹介します!

ガジャマダ大学って?

ガジャマダ大学(Gadjah Mada University)とは、インドネシアのジャワ島のジョグジャカルタに位置する国内有数の有名大学です。インドネシア語ではUniversitas Gadjah Madaと表記するので通称UGMと呼ばれています。敷地には18もの学部があり、歩ききれないほどの広さがあります。

ガジャマダ大学はインドネシア国内の大学ランキング1、2位を争う有名な大学です。インドネシア大統領ジョコ・ウィドド氏もガジャマダ大学の森林学部を卒業されています。大学がキャンパスを構える古都ジョグジャカルタには世界遺産の仏教寺院ボロブドゥール遺跡やヒンドゥー教のプランバナン寺院があることから分かるように、長い歴史を感じさせる場所であるというのが最大の特徴です。

ガジャマダ大学の規模はどのくらい?

ガジャマダ大学にはどれくらいの学生が在籍しているのか?教員数はどれくらいなのか?早速基本データ(※2019年2月時点)からガジャマダ大学を見てみましょう。

上の画像上部左側の“Total Students”の項目を見ると生徒数は47,689人と書いてあります。右側には“Total Faculty Staffs”とあり、大学職員の数は4,854人と書いてありますがこれは教授だけでなくアシスタントなどを含んだ数字で、教授は348人であることがわかります。更に文化学部、法学部、政治社会学部、経済ビジネス学部、哲学部、心理学部、生物学部、薬学部、医学部、獣医学部、動物学部、地理学部、森林学部、理学部、工学部、農学部、農業工学部、歯学部からなる18の学部があります。

なお、世界大学ランキングサイト4ICUによるとインドネシア国内の大学ランキングで第一位に輝いています。

大学の敷地内には学部の建物だけではなく体育館、グラウンドなどの運動施設や寮、ホテル、部活動のための建物、カフェや礼拝のためのモスク、なんと小さな湖まであります。更には大学院に所属している先生方の住居まで大学内に用意されています。

日本では規模が大きい大学の場合は学部や学年によっていくつかの地域に校舎が分かれていることが一般的ですが、ガジャマダ大学ではそれらが一か所に集まっています。一般道路を挟んで学部の棟が建っている場所もあります。大学の規模がいかに大きいかわかりますね。

大学内部はどんな感じ?

それでは全体的な視点からもうすこし焦点を絞って、大学の内部の雰囲気を見てみましょう。今回は日本語学科がある「文化学部」通称FIB(Fakultas Ilmu Budaya)を覗いてみましょう!

上左の写真は文化学部の講義棟を写したものです。赤い文字でFakultas Ilmu Budayaと書いてありますね。

7階建ての建物で、文学、人類学、観光など学科によって階が分かれています。通常はこの講義棟で授業を受けるのですが、新型コロナウイルスの流行以降はほとんどの授業がオンラインで開講されているので現在は以前ほどの賑わいはないようです。

この建物の地下には食堂があります。日本の大学のように同じカウンターからそれぞれ食べたいものを注文するのではなく、写真の赤いブースがそれぞれ違うメニューを出しているので学生が食べたいものをそこで注文する形式です。屋台に近いですね。支払い方法もブースによって異なり、現金のみのところや電子決済にも対応できるところなど様々です。食べる場所として、簡素な机と椅子が置いてあります。食事をしている学生だけではなく、パソコンで作業をしている学生や友達とおしゃべりしている学生など各自が自由に過ごしていました。簡易的なステージもあるので、部活の出し物の場所としても使われます。

上右の写真は食堂の様子です。食堂は大学全体としてではなく、学部単位で設置されています。学部によってメニューが違い、他の学部の食堂を渡り歩いてお気に入りの食堂がある学生もいるんだとか。友人は農学部の食堂がおすすめだと言っていました。また、文化学部の食堂は他の学部よりも清潔だと定評があるようです。

それでは講義棟を見てみましょう。左の写真は文化学部の敷地に入ってすぐ見える光景です。中庭のようなものを中心として講義棟やモスク、部活動のための建物などが周りに建っています。そのため文学部内での建物の移動はとても簡単になっています。

続いて右の写真は講義棟の入口の写真です。ドアはなく、開かれた造りになっています。この他にも講義棟横には階段に接続する小さな入口があり、そこから入ることもできます。

左の写真は講義棟の階ごとにどのように部屋が分かれているかの表です。学科によって階が分かれているので学生は主に決まった階で授業を受けています。

右は教室の写真です。パイプ椅子に小さな机がついていて、一人ひとりの席の間隔は充分に開いています。冷房、プロジェクター、ハイブリッド授業に対応するためのビデオカメラもついていて、清潔な教室でとても快適に授業を受けることができます。ビデオカメラは先生の動きに合わせて自動でレンズを動かすようにできていて、先生が教室の中で移動したりホワイトボードに板書をしたりする度にビデオカメラに映っているかどうかを調整しなくていいような仕様になっています。ハイブリッド授業の場合はプロジェクターを使ってオンラインで参加している学生の画面をホワイトボードに映しながら授業を進めます。そのため質問や学生からリアクションがあった場合もすぐに把握できるので、対面で参加している学生と同じように参加できるように工夫されています。

ちなみに授業は1コマ90分から150分(2時間半)のものまで様々です。授業の長さは担当の先生によって変わります。授業と授業の間の休み時間はおおむね30分ほどあります。これなら次の授業の教室に慌てて駆けこむこともなさそうですね。また、インドネシアの大学は日本と比べて授業が始まる時間がとても早いです。履修している中で一番早い授業は7時15分に始まります。一番遅いものは16時40分に終わります。

次の写真は講義棟の中の廊下の様子です。廊下の両側に教室や文化学部に所属する先生のための部屋が並んでいます。日本の大学では教授の部屋と授業用の教室は階が分かれていることもしばしばですが、文化学部では同じ階に並んでいるようです。廊下には本棚もあります。

まとめ

いかがでしたか?今回はインドネシアのガジャマダ大学について、全体の概要から、またキャンパスの中にある施設から、そして文化学部の内部から見てきました。

インドネシアの大学について初めて知ったという方なら、想像していた大学の様子とはまるで違ったという方が多いのではないでしょうか。正直なところ想像していたよりも綺麗だったと思った方もいるかもしれませんね。少しでもガジャマダ大学の雰囲気を感じていただけたのなら幸いです。

【後編】ではガジャマダ大学に通う学生のインタビューをご紹介しています。入試制度、カリキュラム、有名な学部、就職先、卒業生について語っていただきました!ぜひそちらも併せてチェックしてみてくださいね。

著者:渡辺麻友(わたなべ まゆ)
東京外国語大学国際社会学部東南アジア地域/インドネシア語専攻 在籍
インドネシアのガジャ・マダ大学 留学