インドネシアの結婚式事情

みなさんはインドネシアの結婚式についてどれくらい知っていますか?

インドネシアは人口に占める若者の割合が高く、既婚率も日本と比べて高いです。例として20代の既婚率(上から2番目の欄)を比較すると、インドネシア人女性の既婚率は69.8%であるのに対して日本人女性の既婚率は21.7%となっています。(出典:Global Market Surfer

インドネシアの結婚式と一口に言っても、宗教や民族によってそのスタイルは異なります。今回は2022年のレバランに行われたイスラム教徒同士の結婚式の様子をお届けします。(レバランについての記事はこちら

結婚式前日

結婚式前日の夕方18時には新郎新婦の親戚一同が結婚式会場に集まり、一緒に食事をとり談笑します。出席者は50~60人ほどでした。

20時半過ぎに皆が解散した後は女性(主に母親たち)が会場に残って翌日の結婚式で参列者に配るお土産の準備や会場の飾り付けをします。

結婚式当日は何をするの?

今回参加した結婚式は新婦の家で行われました。家といっても100人単位が一度に出席できるほどの規模です。家の中だけではなく庭にテントを張り、特設ステージやテーブル、椅子を並べて即席の会場として使われました。

結婚式全体にかかった時間は朝7時から14時までの5時間でした。簡単な流れは以下のようになっています。(※時間で区切られているわけではないためおおよその時刻です。)

時間内容詳細
7時〜
8時
Akad Nikah
儀式
1. Pembukaan(結婚式の開会)
2. Khotbah Nikah(宗教指導者による結婚の心構えの説明)
3. Ijab Kabul(結婚の契約と証人による承認)
4. Doa Nikah(幸せを願う祈り)
5. Penandatangan Buku Nikah(結婚証明書の授与)
6. Penutup(結婚式閉会)
9時〜10時写真撮影・カメラマンによる撮影・新郎新婦と順番に撮影していく
11〜
14時
披露宴・余興や食事を楽しむ

7時から式が始まりました。参列者は新郎新婦の親戚が主で、人数はおよそ100人です。会場は庭から一続きに開かれていて全体を通して出入り自由です。

結婚の心構えを示すことから儀式は始まります。その後宗教指導者および証人のもとで新郎が新婦の父に結婚の許可をもらいます。

一通りの儀式が終わったあとは写真撮影に移り、新郎新婦と参列者で順番にカメラマンに写真を撮ってもらいました。1回につき3ポーズほど撮影していたので順番が回ってくるまでかなり時間がかかりました。

写真撮影がひと段落した後は披露宴に移ります。披露宴でのお色直しはありませんでした。この時間は参列者は自由に他の参列者との交流や余興を楽しみます。余興では庭に設置された特設ステージが使われます。内容としては歌を披露する人が主でした。

参列者の服装は?

女性の参列者はクバヤやガミス(全身を覆うためのワンピースのような服)、男性はバティックを着用していました。正装であればOKです。

今回の結婚式では主催者側からドレスコードが指定され、女性は赤色の服を着るように案内がありました。

日本の結婚との違いは?

インドネシアでは結婚式の中で結婚が成立するため、式なしでは結婚は成立しません。その中でも特に重要なのは3番目の契約と承認の部分です。また、結婚に際して新郎から新婦へ贈り物(マハル)をする必要があります。マハル(またはマフル)は結納金のようなもので、何をどのくらい贈り物として授けたのかを結婚式で明らかにして初めて新郎としての義務を果たしたと見なされ、結婚が承認されます。一方日本では婚姻届が受理されることで結婚が成立するため結婚式を挙げなくても結婚は成立します。

日本で行われるキリスト教式の結婚式と、今回参加したイスラム教式の結婚式の主な違いは以下の通りです。

・新郎新婦の生い立ちや馴れ初めには焦点を当てない

・宗教指導者及び証人などの第三者の承認が必要になる

・結婚式当日に契約を交わす

いかがでしたか?

多民族国家のインドネシアには民族や宗教の数だけ結婚式のスタイルがあります。

みなさんも機会があったらインドネシアの結婚式に参列してみてください。通りすがりの人でも飛び入りで参列することがあるようなので、きっとあたたかく迎えてくれますよ。