なぜ、今インドネシア理系人材が注目されている?アジアで起きている日系企業の人材採用の実態

なぜ、インドネシア市場に注目している企業が増えているのか?

 弊社は2020年に設立して以来、インドネシア理系人材の育成・紹介を行なっており、インドネシア理系人材に関心がある企業と随時商談をさせていただいています。

2020年〜2021年にかけてはコロナ禍のため、海外人材の採用に消極的な企業が大半でありましたが、2022〜2023年とコロナ禍が落ち着き始め、いよいよ企業が海外人材の採用に乗り始めています。

もちろんインドネシア市場を狙った企業からのお問い合わせも多く、そのインドネシア市場が注目されている背景を本記事では解説いたします。  

2000年初期の人材獲得の主戦場は中国

日本では2000年初期、製造業をはじめとする数多くの日系企業がより人件費が安価な中国へと生産拠点や工場を中国へと移転し始めました。それに伴い、技能実習生をはじめ中国からの人材獲得が盛り上がり始めていた時期でした。

しかしながら、中国の経済成長は著しく、やがて都心部では既に日本の給与基準を上回る事態に直面し、日本で就労を希望する労働者層が一気に減少し、中国への進出・中国からの人材採用は下火になってしまったのです。  

「NEXTチャイナ」としての採用市場

そこで、日系企業が目につけたのがベトナムだったのです。中国の次の拠点「NEXTチャイナ」を目指し、ベトナムへと製造拠点などを移していったのです。中国からも陸続きであり、日本から5時間半と比較的物理的・心理的距離も程よい位置にあることに加え、中国に比べ経済成長が遅く、日本との賃金格差があったため、日系企業で働きたいベトナム人がたくさんいたことも「NEXTチャイナ」のターゲットになった理由といわれています。

人材獲得のマーケットとしても魅力的であり、技能実習生をはじめとしてベトナム人人材の獲得合戦が2010年代に始まりました。その結果、日本在住外国人の国別比率で韓国を追い越し中国につぐ第二位を記録し、約50万人近くのベトナム人が日本に在住してます。しかし、近年ベトナム国内の賃金も著しく上昇しているほか、欧米系企業が日本企業よりもはるかに高い金額の給与を提示するため、人材獲得市場では日本の居場所がなくなってきつつあります。

そのほか、技能実習生などが日本企業から劣悪な待遇を受けるなどの悪評が一部で拡散されているなど、日本で働く訴求力が薄れていっているのです。

関連:年収400万円でも不満 ハノイ工科大学の「日本離れ」(日本経済新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC091QX0Z00C23A6000000/    

「NEXTベトナム」としての採用市場

このようなベトナムでの人材獲得に苦戦している現状から、ベトナムの次の市場である「NEXTベトナム」を見ている企業が増えているのです。「NEXTベトナム」として候補国を見渡したとき、やはりASEANが立地的にも文化的にも親和性が高く、ASEANが注目地域になります。そのASEAN人口約6億人の50%近くを占めている、インドネシア(人口2億8000万人)は見逃すわけにはいかない市場として注目され始めているのです。

平均年齢も30歳以下であり、日本語学習者も中国に続き、世界第二位となっています。この魅力から、現在人材獲得戦略を検討している企業が増えていってます。   現在、日本に在住するインドネシア人数はベトナム人の6分の1以下である8万人超。

今後どこまでインドネシアの人的・経済的な交流が加速するのでしょうか。    

著者

和田 海二(わだ かいじ)
キャリアダイバーシティ株式会社 代表取締役
早稲田大学国際教養学部卒業後、インドネシア・マレーシア向けインバウンドメディアに入社。その後、インドネシアに2年間駐在、現地の教育機関で現地スタッフ20名および学生200名をマネジメント。2020年、インドネシア人材キャリア支援事業を展開するキャリアダイバーシティ株式会社を設立。JETROインドネシアや慶應義塾大学SFCなどでゲスト講師として講演を実施。外国人雇用管理主任者、インドネシア・教育文化省主催インドネシア語コンテスト2023(リポーター部門)世界一位。BBCインドネシア、NHK Worldでの特集実績もある。