インドネシアに在住してみてわかった「日本企業がインドネシア人材を採用しやすい3つの理由」

日本国内での人材採用も近年、難度が上がってきており海外からの採用をお考えの企業も増えて来ています。今回は、どこの国から人材を採用するか検討している方を主な対象として、筆者がインドネシアに在住し、1,000名近くのインドネシア人学生と関わった経験に基づき、日本企業がインドネシア人材を採用するメリットを紹介します。  

(1)日本語学習者数世界2位

日本企業で外国人が働く際の一番のハードルは「日本語」です。社内では日本語が公用語、お客様とのコミュニケーションも日本語という企業が大半であり、日本語の習得は外国人採用を行う上での前提となることが多いでしょう。

インドネシアでは、日本語がカリキュラムに組み込まれている中学校や高校もあり、日本語学習者数約71万人(2018年時点 国際交流基金)となっており、中国に次いで世界2位となっています。東南アジア第2位、世界第5位の日本語学者数を誇るタイは約18万500人と大きく引き離しています。  

また、インドネシア語と日本語の発音が近いこともあり、他の東南アジアの国に比べると発音がより日本人の発音に近いとも言われています。そのため、既に日本語ができる人を採用することも他国と比較するとハードルは下がりますし、日本語をこれから学習するという心理的な壁も低いといえます。

  (2)チームワークを大切にする価値観

インドネシア人はコミュニティや人との繋がりをとても大切にします。実際に日本でも以下のような数多くのインドネシア人コミュニティがあります。

・技能実習生コミュニティ
・介護・看護師コミュニティ
・イスラム勉強コミュニティ
・留学生コミュニティ
・家族向けコミュニティ  など  


その根底には、相互扶助の精神があり、組織やコミュニティに積極的に関わって貢献していくことの美徳がインドネシア国民のバックボーンとして存在しています。

会社でも直接的な対立や不和をなるべく避け、円滑に物事を進めるように考える傾向が多く、この点では日本人の感覚に近いともいえます。感情的になる場面もあまりなく、組織内への順応さは日本の企業にとって魅力的かもしれません。

  (3)日本文化への接点

インドネシアの道路を歩いていると、Honda、Mitsubishi、Toyotaのロゴをつけた車よく見かけます。また、ポカリスエットの広告看板やミスタードーナツや吉野家の店舗など、日本でもお馴染みのブランドが幅広く浸透しています。テレビをつければ、日本のアニメやバラエティなども見ることができ、文化的・経済的な密接な関わりを感じることができます。また、第二次世界大戦中に日本がインドネシアに南進していたことから、戦後、日本から莫大な支援がインドネシアになされ、多くの交流が生まれています。  

インドネシア人は生まれた時からそのような環境で育っているため、日本語を全く聞いたことがないという人はあまりいません。何かしらで日本との接点があり、日本文化へ接触しているのです。日本が未知の国で、どのような文化を有しているのか全くわからないというインドネシア人は限りなく少ないのです。  

実は、このように日本の企業とインドネシア人の親和性は強く、実際にインドネシア人を採用した企業からも同様の声が寄せられています。

日本人からすると、「インドネシア=バリでバカンス」というようなイメージが強いかもしれませんが、インドネシア人からすると日本は割と心理的な距離が近い国なのです。  

和田 海二(わだ かいじ) キャリアダイバーシティ株式会社 代表取締役
早稲田大学国際教養学部卒業後、インドネシア・マレーシア向けインバウンドメディアに入社。その後、インドネシアに2年間駐在し、現地の教育機関で現地スタッフ20名および学生200名をマネジメントに従事。2020年、インドネシア人材キャリア支援事業を展開するキャリアダイバーシティ株式会社を設立。JETROインドネシア慶應義塾大学SFCなどでゲスト講師として講演を実施。外国人雇用管理主任者、インドネシア・教育文化省主催インドネシア語コンテスト2023(リポーター部門)世界一位。BBCインドネシア、NHK Worldでの特集実績もある。