中部ジャワを支える「ディポネゴロ大学 / Diponegoro University (UNDIP) 」

ディポネゴロ大学の設立背景

ディポネゴロ大学は、インドネシア中部ジャワ州の州都スマランにある国立大学です。1945年の国家独立後、1950年代に入ると中部ジャワ地域の住民の中で教育の需要が高まりました。当時中部ジャワにあった高等教育機関は、ガジャマダ大学しかありませんでした。

当時中等教育課程を終えた学生の人数に対し、それらの学生が継続して高等教育を提供できる大学が圧倒的に不足していたのです。そこで1956年にできたのがスマラン大学で、1959年にはその名は現在のディポネゴロ大学になりました。この名前は当時の大統領スカルノから与えられたもので、ディポネゴロとは中部ジャワの王家に生まれた王子で、オランダ植民地時代には宗主国オランダへの抵抗運動を率い、後に国から英雄の称号が与えられた人物です。

ディポネゴロ大学の学部および学生生活

ディポネゴロ大学には、法学部、経済経営学部、文化学部、社会科学・政治学部、医学部、公衆衛生学部。水産海洋学部、畜産・農学部、心理学部、理数学部、工学部の11の学部があります。人気の学部は順に心理学部、法学部、経済経営学部で、それぞれ110〜270名ほどの定員に対し、2500〜3000名の学生が該当の学部を志望しています。ディポネゴロ大学の入試は、国立試験、推薦入試、大学独自の入試システム、国際学部プログラム(全授業英語)の4つのルートがあります。

インドネシア国内の各大学にも日本の大学のようにサークル活動や課外活動がありますが、ディポネゴロ大学のそれはユニークでしかも世界の舞台での活躍も見られます。ディポネゴロ大学の学生たちによる合唱グループは1972に結成されました。これまでにインドネシア国外の大会にも出場経験があり、2016年にはスペインで開催された合唱祭で部門一位に入賞。また2022年には韓国で開催され、世界各国から36チームが出場した釜山国際合唱祭でグランプリに輝いています。この大会ではインドネシアの民族衣装をモチーフにした衣装を身に着けたユニークなパフォーマンスが評価され、部門別でも入賞しています。

ディポネゴロ大学の学生によるユニークな活動は、インドネシア国内でも行われています。インドネシアの伝統工芸であるバティック(ろうけつ染め・ジャワ更紗)は各地で独自のデザインのものが作られています。ディポネゴロ大学の学生たちは、テガル県にある村をフィールドに選び、バティック生産の現状をリサーチ。コロナ禍に生産量が大幅に落ちた村のバティック産業を盛り上げるべく活動をしました。

バティックの柄は国内の各生産地が独自のモチーフを持っています。学生たちはこの地域のバティック独自の柄はそのままに残しつつ、ディポネゴロ大学のロゴが入ったデザインを提案。学生や大学職員が着用することにより、定期的な受注があるようになると言います。これらのバティックの展示会への出品や、ソーシャルメディアによるマーケティングなど、村で主に年配者や主婦が忙しい日常の合間にスローペースで生産してきたバティック産業を盛り上げていくことに取り組みました。

ディポネゴロ大学のロゴが入ったデザイン
https://www.undip.ac.id/post/28101/kreativitas-mahasiswa-kkn-undip-bantu-kembangkan-batik-khas-tegal.html

ディポネゴロ大学の卒業生

最後にディポネゴロ大学のユニークで素晴らしい卒業生をご紹介します。現職の女性スマラン市長ヘヴェアリタ(通称イタ)氏が今年ディポネゴロ大学で博士号(社会政治学)を修了しました。現在58歳の彼女が市長としての仕事をしながら博士号を取得したニュースは、地元スマランはもちろんのこと、インドネシア国内の多くの人々に希望を与えたのではないかと思います。

スマラン市長の彼女は卒業の際、ディポネゴロ大学の政治学部は全アジア地域で24位まで上がっていて、卒業生がこれからもっと社会で受け入れられ活躍していってほしい、と大学のアピールを忘れませんでした。

著者

杏子スパルディ
2003年、留学先のアメリカでインドネシア人たちと出会い在米期間中インドネシアコミュニティにどっぷりとハマる。帰国後インドネシアに単身渡り現地採用で外資・日系企業にて合計14年勤務。現在はフリーランスのインドネシア語講師、コラムニストとして活動中。インドネシア人夫と小学生の子供二人と西ジャワ州ブカシ在住。「インドネシアと日本の架け橋に」をビジョンにオンラインコミュニティ、メラプティ交流会運営。異文化交流会、おしゃべり会、無料インドネシア語レッスンなど毎月開催中。
主な実績:
世界で働く女性のためのポータルサイト「世界ウーマン」インドネシア担当コラムニストにて毎月コラムを執筆・掲載
インドネシア人採用の専門メディア 「アジアンHRジャーナル」にて不定期でコラム執筆・掲載