インドネシアの大学入試を解説!知っておくべき3つの入試方式とは?
今回のコラムでは、インドネシアの国立大学の入学試験についてご紹介します。国立大学の入学試験はUTBK & SNBT, SNBP, Mandiri の3種類があります。以下、それぞれの試験について詳しく説明します。

1 一般受験
国立大学を受験する学生は専用ウェブサイトからSNPMB(全国新入生入学選考)に登録し受験資格を取得します。まず一次試験としてUTBK (コンピューター試験)を受験します。UTBKは国語(インドネシア語)、英語、数学の三科目の問題が含まれます。UTBKの合格基準は各大学によって違います。一例として2023年入学のインドネシア大学のUTBK合格ラインは、満点の1000点中600-700点以上と言われています。
UTBKに合格すると二次試験のSNBT(全国選抜試験)に進みます。音楽や芸術などを専攻希望の学生はここでポートフォリオの提出も求められます。SNBTは各科目ごとの試験ではなく、認知能力、数学的推理力、インドネシア語・英語の読み書きの能力を測定するテストで、受験者の理解・想像・推理力などが試される試験とされています。中には国語の読解問題、常識問題のようなものや数学の応用問題なども含まれ、昨年インドネシア大学に合格したラニさんも受験のための勉強で苦労をしたと話していました。
2 推薦試験
国立大学入学試験にはSNBP(推薦入学)もあります。学力推薦の他、スポーツや語学、また宗教(クルアーン暗誦)などの分野で大会入賞実績なども推薦の条件に含まれます。内容や条件は各大学によって若干違うようです。推薦試験で入学する学生には、学費の一部が免除になるなどの特典も大学によって設けられています。
3 大学の独自試験
最後にご紹介するのがMandiri (各大学独自の試験による入学試験)です。大学独自の筆記試験を独自の基準で合否の判断をします。大学によって筆記試験のみのところもあれば、Mandiri枠の中にも推薦入試を取り入れている大学もあります。
下の写真のように、大学によって上述の入試方式による入学者割合が定められています。

受験の流れ・タイムライン
2024年度入学の試験のおおまかな日程をご紹介すると:
2023年12月末、推薦入試枠数決定
2024年1月中旬~2月末 推薦入試願書および必要書類提出
2024年3月末 推薦枠合格発表
2024年1月中旬~2月中旬 SNPMB アカウント登録
2024年3月中旬~4月初旬 願書提出(コンピュータ・筆記試験)
2024年4月末~2024年5月初旬 第1グループ試験
2024年5月中旬 第2グループ試験
2024年6月中旬 合格発表
以上のようなスケジュールとなっています。
2019年に実業家だったナディム氏が教育文化大臣に就任して以降、大学入学試験も改革・変更がされました。今回ご紹介したUTBK (コンピュータ試験)と特定の科目がないSNBT (筆記試験)もナディム氏が大臣になってから新しくなったものの一つです。国立大学受験のためのSNPMB(全国新入生入学選考)というシステム自体、信頼性があり、公正で柔軟性があり、効率的かつ透明歳があるもの、という指針の元に設立されたものだと言われいます。
著者
杏子スパルディ
2003年、留学先のアメリカでインドネシア人たちと出会い在米期間中インドネシアコミュニティにどっぷりとハマる。帰国後インドネシアに単身渡り現地採用で外資・日系企業にて合計14年勤務。現在はフリーランスのインドネシア語講師、コラムニストとして活動中。インドネシア人夫と小学生の子供二人と西ジャワ州ブカシ在住。「インドネシアと日本の架け橋に」をビジョンにオンラインコミュニティ、メラプティ交流会運営。異文化交流会、おしゃべり会、無料インドネシア語レッスンなど毎月開催中。
主な実績:
世界で働く女性のためのポータルサイト「世界ウーマン」インドネシア担当コラムニストにて毎月コラムを執筆・掲載
インドネシア人採用の専門メディア 「アジアンHRジャーナル」にて不定期でコラム執筆・掲載