特定技能「自動運送業・ドライバー」開設へ、注目を浴びるインドネシアの陸上交通大学
Politeknik Transportasi Darat Indonesia – STTD (陸上交通大学)は、インドネシア運輸省の管轄下にある高等教育機関です。キャンパスは西ジャワ州ブカシ県にあります。その歴史は古く、1951年に当時のスカルノ大統領により設立された交通アカデミーが前身とされています。一時期活動が行われなくなったこのアカデミーは、交通量の増加や交通技術の発展のニーズのため、1980年に再びオープン、その後より高い専門資格のニーズと教育システムの発展に対応するため、2000年大統領令により高等教育機関である現在の陸上交通大学となりました。
陸上交通大学では学士号 (S1)と修士号 (S2)の他、学士号と同等の4年間の職業教育課程 (D4)や、3年間の職業教育課程 (D3) のプログラムがあり、交通・輸送の分野でのスペシャリストを育成しています。
全寮制の陸上交通大学への志願者は全国から集まり、2024年には約7000人以上が受験し合格者は600名強と、その倍率は10倍以上と言われます。
Total Pendaftar Sekolah Kedinasan Capai 161.216 Orang, Simak Rinciannya - TribunNews.com
入試には物理、数学、英語などの一般科目のテストと面接の他、警察や軍の試験同様視力や身体検査(身長や体重の他に足の形など細かく見られます)も含まれます。
広いキャンパス内には鉄道と陸上交通の大きく分けて2つのメインの建物があります。学科以外に実技の授業も多く、そのための施設も充実しています。自動車のメカニックを学ぶ修理工場さながらの施設や、ほぼ実物と同じ線路や鉄道、信号機などが揃っています。
運輸省の直接の管轄下ということもあり、首都ジャカルタ市内を走るトランスジャカルタ(通称バスウェイ)のドライバーの養成トレーニングも学内では提供されています。在学中の学生以外にも、トランスジャカルタに乗務を目指す運転手も数百名がトレーニングを受けています。
卒業生の多くは地方自治体の運輸局で市・県・州レベルの交通管理の担当者になったり、運輸省職員として陸上輸送関連分野で活躍する人も多いといいます。その他にも道路インフラや交通計画管理をする職に就いたり、民間の物流関連企業にもたくさんの人材が就職しています。
この陸上交通大学からは既に、日本国内の空港ハンドリングや鉄道の分野で活躍する人材も出ています。インドネシア国内の人材送り出し機関などと協力関係も結んでいて、今後も物流やドライバーなど幅広い分野でインドネシア国内だけにとどまらず、日本をはじめとする海外で活躍する人材が更に増えていくことが見込まれています。
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著者
杏子スパルディ
2003年、留学先のアメリカでインドネシア人たちと出会い在米期間中インドネシアコミュニティにどっぷりとハマる。帰国後インドネシアに単身渡り現地採用で外資・日系企業にて合計14年勤務。現在はフリーランスのインドネシア語講師、コラムニストとして活動中。インドネシア人夫と小学生の子供二人と西ジャワ州ブカシ在住。「インドネシアと日本の架け橋に」をビジョンにオンラインコミュニティ、メラプティ交流会運営。異文化交流会、おしゃべり会、無料インドネシア語レッスンなど毎月開催中。
主な実績:
世界で働く女性のためのポータルサイト「世界ウーマン」インドネシア担当コラムニストにて毎月コラムを執筆・掲載
インドネシア人採用の専門メディア 「アジアンHRジャーナル」にて不定期でコラム執筆・掲載